福岡有明のりが美味しい理由【第2回】

株式会社 丸川海苔 取締役
渡邉 豪さん

火入れ、焼き上げ、味付け
ノリの美味しさを最大限に引き出す

『丸川海苔』の三代目・渡邉豪さん(株式会社 丸川海苔 取締役)に、ノリの加工について聞いてみました。

11月下旬。福岡県南部の有明海沿岸に、いよいよノリのシーズンがやってきました。ノリ漁師さんが丹精込めて作ったノリは、21×19センチの一枚の乾ノリにされ、入札会を経て加工業者へ渡ります。ここで焼きノリや味付けノリなどに加工された後、ようやく商品としてスーパーや物産館に並びます。今回はそんな中でもノリの味を大きく左右するという加工に着目。老舗の加工販売会社『丸川海苔』の渡邉豪さんを訪ねました。

ノリ1枚を全型(ぜんけい)といい、ノリ10枚の束を1帖(じょう)、入札会には10帖を1束にして36束(3600枚)ずつ段ボールに詰めて出荷されます。

ノリ養殖の漁師さんから出荷された『福岡有明のり』は、まずは専門の検査員により、重さ・色・穴の具合・艶・香り・青のりの混入・何回目に摘んだか…など細かくチェックされて等級分けが行われます。ノリの等級は、優等・特等・1〜7等に分けられ、そこからさらに細かく格付けされ、その数は300を超えるといいます。この等級分けされたノリを渡邉さんは入札会で仕入れます。「入札会ではノリの実物を見て・触って・香りなどを確認しながら吟味します。贈答用、味付けノリ用など、どの商品に加工するのか…それらに一番適したノリを選んで入札しています」。

等級分けされたノリが並ぶ入札会場。秋芽網(一期作)、冷凍網(二期作)それぞれ最初の「一番摘み(初摘み)」の中で、特に優れたノリには「旬」という特別な等級がつけられるそうです

『丸川海苔』の加工場の中はノリのとても良い香りが漂っていました。入札会で仕入れたノリは「火入れ」を行い、既定の水分量にして冷凍保存します。それを出荷のタイミングに合わせて「焼き上げ」や「味付け」を行ないます。初摘みのノリも1年を通して味わえるようになったのも冷凍技術と焼き上げの技術が進化したおかげだと渡邉さんは言います。

焼き上がったノリを丁寧に確認する従業員のみなさん。この道10年を超えるベテランも多いそうです。

加工で最も神経を使うのが「焼き上げ」。仕入れたノリの状態は1箱ごとに違うため、火加減・焼き時間・焼く回数などを変えながら試し焼きを繰り返して、最も美味しくなるように焼き上げるそうです。「商品化したノリを100%とすると、仕入れたばかりのノリの完成度はまだ10〜20%というところ。火入れ、焼き上げ、味付けなどが行なわれて初めて商品として完成します」と渡邉さん。

ノリの美味しさを最大限に引き出すため「まだまだ勉強中です」と渡邉さん。眼を輝かせながらノリの話をしてくれました。

口に入れると香ばしく、噛むと柔らかさの中に心地いい歯触り、とろけるようにほぐれ、旨味があふれる『福岡有明のり』。それを生み出しているのは、美味しいノリを育てるノリ養殖の漁師さんたちに加え、渡邉さんのようにノリの加工に携わる方々の技術と努力があるからなのです。

左から最高級品『旬の焼海苔』、大人気の『丸ちゃんのふりかけ海苔』、ごはんのお供に『有明のり佃煮』、サクサク感がクセになる『海苔チップス』。

【丸川海苔】
所:柳川市本町43
電:0944-73-3648
営:9:00~17:00(店舗は〜19:00)
休:日曜
P:あり
http://marukawa-nori.com

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