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ふくおかの水産加工場を訪ねて

新鮮な福岡の魚をさらにおいしく!魚の旨さを知り尽くした水産のプロたちの加工現場をレポート

ー第3回ー
道の駅むなかた

品余りも、品不足も、道の駅ならではの知恵と工夫で解決

 お魚は好きだけど料理は苦手…という声、よく聞きますね。でも最近では冷凍技術の発展のおかげで、魚のおろし済みの冷凍商品や、電子レンジでチンするだけでおいしく食べられるレンジアップ商品など、簡単便利な水産加工品が注目されています。今回はそんなレンジアップ商品を開発して、漁業が抱える問題を解決しようとしている宗像市の『道の駅むなかた』を訪ねました。

 『道の駅むなかた』は、2008 年にオープンして以来、地元生産者から届く新鮮な魚介や生鮮野菜を揃え、年間集客数約170 万人、年商約20 億円を誇る、国内でもトップクラスの道の駅です。とくに宗像市内の漁港から水揚げされた新鮮な魚や水産加工品は人気の的。ここで地元物産品を活用した商品開発を担当している工藤達哉さんにお話をうかがいました。

 工藤さんはこれまでスーパーやドラッグストアで、販売、バイヤー、PB 商品の開発も手がけ、2017 年に『道の駅むなかた』に入社。営業部長を経て、昨年から開発部長としてオリジナル商品の開発を担当しています。「その第1 作目となるのがこれです」と手にとったのは、宗像市鐘崎産の天然ブリを使った『ブリ根』。鍋1 杯分はあるほどのボリュームで、脂がのった天然ブリと芯まで柔らかく煮込まれたシミシミの大根が人気のレンジアップ商品です。

 「道の駅では、毎年年末になると1 本1 万~2 万円するようなブリが500 本も600 本も売れるんですが、正月を前に余らせるわけにいかず…かといって品切れになるのも良くない…年末の仕入れ担当は毎年胃が痛くなります(笑)。こうしたロスをなんとかしたいと誕生したのが『ブリ大根』なんです」。

 「以前、大根がたくさん余った時、商品ポップに『今夜はブリ大根にしよう!』って書いたら、すごく反応が良くて̶̶そんな経験から、商品化するならまずは『ブリ大根』からと思っていました」。1 箱1280 円という価格にもかかわらず、初月で120 箱も売れて驚いたといいます。地

地元漁師さんたちとの会合で、いつも強く要望されていたのは、たくさん獲れすぎた時の「品余り対策」。せっかく美味しい季節でたくさん獲れたとしても、供給が需要を上回ってしまえば、値崩れを起こして、結局あまった魚は廃棄同然となってしまうのです。「フードロスがきっかけで作った『ブリ大根』ですが、実は海が時化(しけ)ると漁ができず、売り場の鮮魚ケースが空っぽになることがあるんです。でもこうした品不足時にも対応できる商品があるというのはとても助かります」。

 第2弾は、5月から漁期を迎えるマダイを使った『真鯛のあら炊き』を発売。さらに夏には『真鯛のアクアパッツァ』と『地だことミニトマトのアヒージョ』という欧風アイテムも新発売。「実は昔、イタリアンにもいたもんで…」と、味付けにはかなりこだわったという工藤さん。獲れた分だけ全て買い取ることができ、品余りも、品不足も両方解決できる̶̶道の駅ならではの知恵と工夫がいかされた商品開発。まさに地域とともに潤う持続可能な切り札なんですね。

鐘崎や大島など県内屈指の漁港から新鮮な魚介がここに集まる九州でもトップクラスの売上を誇る道の駅。水産物のみならず野菜や肉も豊富にそろう。

道の駅むなかた
[住所]宗像市江口1172
[電話]0940-62-2715
[営業]9:00 ~ 17:00(物産直売所)
[定休]第4 月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始
[HP]https://michinoekimunakata.shop/