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ふくおかの水産加工場を訪ねて

新鮮な福岡の魚をさらにおいしく!魚の旨さを知り尽くした水産のプロたちの加工現場をレポート

ー第4回ー
株式会社ウエダ

株式会社ウエダ 鮮魚の様な色艶 旨味は濃密に 絶妙な一夜干し

干物(ひもの)といえば日本の水産加工品の代表格。奈良時代よりも以前から作られていたと云われるほど古くから伝えられてきた保存技術です。今でも「みりん干し」や「一夜干し」など、フライパンやオーブンでそのまま焼くだけで、濃厚な魚介の味が楽しめる便利な食材としてお馴染みですね。今回は、福岡県で獲れる多彩な魚介類を使った「一夜干し」を製造販売している『株式会社ウエダ』を訪ねました。

場所は長浜の福岡市鮮魚市場からも目と鼻の先で、博多港の西側に位置します。海にはたくさんの漁船やプレジャーボートなどが停泊していますが、周囲は真新しいマンションが建ち並ぶ住宅街でもあります。「ここは鮮魚市場がすぐ近くにありますから、福岡県はもちろん九州中の魚を新鮮なうちに仕入れることができるんです」。さっそく、株式会社ウエダ 代表取締役社長の上田高裕さんと、上田一壽さん(常務取締役)、庵原祥人さんに加工場を案内していただきました。

「うちの干物は、塩分を抑えた食べやすさと、瑞々しい柔らかさ、鮮魚のような発色の良さが特徴です」と上田さん。
干物の製造は、冷風や温風を利用した機械乾燥か、昔ながらの天日干しが主流ですが、ここではそのどちらでもない「低温熟成乾燥」という方法を採用しています。

干物は本来、乾燥させることで微生物の繁殖を抑え、腐敗を防ぐことを目的としてきたものです。しかし現在では冷凍や真空保存など保存技術も格段に進みました。むしろ保存効果よりも、乾燥することで旨味が凝縮され、より濃厚なおいしさになるという点が注目されています。ただし乾燥もやり過ぎると、色が悪くなったり、身が硬くなってしまいます。上田さんが目指すのは、鮮魚に近い柔らかさと色の美しさ、そして干物特有の旨味の濃さ。これを両立させるのが「低温熟成乾燥」です。

加工場ではちょうど玄界灘で獲れたばかりの高級魚アマダイがさばかれていました。開いた魚は一度塩水に漬け込みます。その後「浸透圧脱水シート」という特殊フィルムを敷いたトレーに並べ、0℃の冷蔵庫内で、およそ一晩寝かせて熟成乾燥させます。「浸透圧脱水シート」というのは、浸透圧を利用して、腐敗の要因となる水分や臭み成分だけを吸い取ることができる特殊フィルムです。表面の乾燥や脂質の酸化を防いで、瑞々しさを保った干物ができあがります。

「アマダイ、レンコダイ、アジ、カマス……福岡県は魚種も豊富で、季節ごとに一番おいしい旬の魚を使いますから、いつも多彩な干物がそろっています」。ハリがあって体の色も鮮やか。焼いてみると身はプリッと弾力があり、干物特有のコクのある濃厚な旨味も味わえます。調理も簡単なのでギフトにもとても喜ばれているのだそうです。

昭和45 年創業。干物をはじめとする水産加工品を製造・販売。福岡鮮魚市場から仕入れる新鮮な魚は福岡県産・九州産がメインで魚種も豊富にそろえています。

株式会社ウエダ
[住所]福岡市中央区港3-1-9
[電話]092-714-6161
[HP]https://www.uedanet.co.jp/